​solo exhibition     2022/11/3 - 11/27

altitude

 

この展示空間は私の作品のテーマである命の在処を考える空間である

一番奥の赤い格子の窓は私の命の窓である

しっかりと組まれた格子窓は透けていてまるで無防備である

現在の私は呼吸をし、血が巡り、ただそこに生きている。乱雑な丸は、何も整理されておらず酸素を運びながら考えることもなく私の体をただ巡っている。

あいた丸の空洞から内側の私が外側へ通過し、空気に霧散していく

記憶は溶け出し、機械的な記録としてトンツーでカードへと記録されていく。

 

カード、工業用の刺繍機械で記号的に制作したこの作品は、記録媒体である

 

以前は、刺繍機械はパンチカードという記録媒体で刺繍柄を布へと打ち込んでいた

私の曖昧で乱雑な思考や願望を、機械を通して整理し、カードへと記録する

 

整理された記録はレリーフに写す

 

写され編み縫いの作業によりひと針ひと針記憶が定着される

高山で見た植物は生きる為に適した環境は命それぞれにある事を気付かせ、その姿が生きるというあり方を肯定してくれるようである

 

Altitude 標高 は鑑賞者それぞれの現実から、命の在処を模索する助けとなればいい

自分の命(心)の場所が安寧を求めるように、生息する環境に思いを馳せて欲しい

 

空間の入り口足元の装飾は霧である

霧は視界を悪くし、自分と他のものの距離を曖昧にする

霧は溜まりなかなか動こうとはしない、風が吹いてやっと視界が開ける

左右に動く入り口は鑑賞者の腕、手、の力が風となり、動かされ、霧の扉は開かれる

 

壁面に大きく張り巡らせた植物

ギャラリー周辺500mを、散歩をしながらスケッチを繰り返した

歩きながらのスケッチは血が良く巡りただの描く行為だけで

行き先も決めずに平地を巡り、私は迷子だった

スケッチが私のパン屑となり、ギャラリーへと返してくれた

 

私は集めたスケッチ画から一枚選び取り、壁にテープで定着させた

同じ幅の同じ素材を曲げることなく真っ直ぐにひたすらに切って貼る行為

この機械的な行為がギャラリー周囲500mをスケッチすることで獲得した縄張りを記録する

 

もう私の知らない場所ではない私の現在地点である

 

その壁面の前に高山で出会った植物を配置する、現在地点の私が命の在処を覆うように支えている。

レリーフは命の在処を模索するような私自身を浮き彫りにさせるが同時に私を勇気づける

レリーフという命の在処の問いかけと、鑑賞者という実在する命の行き来

自分ではない他者が Altitude をどう考えるか

私は赤い格子の窓からその行き来を鑑賞したい

2022/11/30    熊谷綾乃